■哀れ、兵士

■作・演出:パク・グニョン,出演:劇団コルモッキル
■あうるすぽっと,2016.10.27-30
■4つの物語を交互に演じていく構成である。 どれも粗削りだが一つにどっぷり浸かることがないので韓国の全体像が結ばれ浮かび上がる。 しかも主人公の死へ踏み込んでいく過程が描かれるので強い感情を伴って響いてくる。 そして国家に雁字搦めにされていく韓国の若者が見えて来る。
太平洋戦争末期、日本軍特攻隊に志願した朝鮮人が靖国神社に祀ってほしいと母に言葉を残し出撃する話、2004年イラクで反米武装集団に誘拐された米軍物資調達業者の韓国人が米韓政府の行き違いから公開処刑になってしまう話、2010年の大韓民国海軍哨戒艦沈没事件で犠牲者たちの直前の行動を再現する話、そして2015年韓国軍で兵脱走事件が発生するが行き場を失った兵が銃殺される計4話である。
韓国の文化検閲に引っかかり危ぶまれていたが今年3月にソウル南山芸術センタで上演された作品である。 アーフタトークで政治的中立で悩むという話があった。 演出家も言っていたが、監督や演出家が納得するものを素直に舞台に載せればよい。 他にもう一つ、カネを出したスポンサーは口を挟まない。 言うのは簡単だがこの二つは作成での必要条件。 でないと舞台を観る意味がない。
*F/T2016参加作品
*F/Tサイト、http://www.festival-tokyo.jp/16/program/all_the_soldiers_are_pathetic/