■お国と五平  ■息子

■お国と五平
■作:谷崎潤一郎,演出:マキノノゾミ,出演:佐藤B作,七瀬なつみ,石母田史郎
■息子
■作:小山内薫,演出:マキノノゾミ,出演:佐藤B作,佐藤銀平,山野史人
■吉祥寺シアタ,2016.10.6-13
■「お国と五平」はコンパクトにまとまっていて芝居には打って付けにみえる。 舞台装置は簡素でもよい。 それより男と女の関係が古さは残るがほぼ全て入っているのが一番である。 その関係も現在完了形の語りで進められるので演出の見せ場を如何様にも作れる。
谷崎潤一郎の耽美感は薄いが最後まで集中できる舞台だった。 艶めかしい場面は五平がお国の足の指を舐めるように見つめるくらいか。 世間への復讐に落ちていく闇討ちに溜息が漏れてしまう。 お国の方言が新鮮に聞こえた。
「息子」は粗筋を読まないで観たのだが父と子はお互いに最初からお見通しだとわかる。 息子金次郎が幕切れで老爺に「ちゃん!」と呼ぶところは江戸明治作品でのデジャヴュにみえた。 役者二人は舞台の外でも父と子である。
「お国と五平」の上演時間が短いため二本立てにすることが多い。 「息子」を観た後は「お国・・」が薄くなってしまったが二つは通底している。 友之丞と老爺は生まれや育ちから逃げられないと幾度も口にする。 両作の時代背景などを考えながら観てしまった。
*作品サイト、http://www.kpac.or.jp/collection9/