■太陽

■作・演出:前川知大,出演:清水葉月,劇団イキウメ
■シアタートラム,2016.5.6-29
■SFで精神世界を描くことが多い劇団だがこれは物理世界に風景を移している。 昼と夜に人類が分かれてしまった話である。 旧い「昼人間」は太陽下では生きられない「夜人間」に憧れる。 彼らが不病不老を手にしているからである。 
しかし「夜人間」の肉体的欠陥や恋愛・結婚制度などに古臭さが舞台に漂っている。 出生率低下問題もリアルに感じられない。 不病不老への想像力に妥協があったのかもしれない。 
だがこの限界を突破しようとする役者たちの心意気が舞台から伝わってくる。 娘生田結が「夜人間」に変わったのをみた父草一は泣き崩れ、連れの奥寺純子はおろおろするばかりである。 「昼人間」の喜びや悲しみ肉体の苦しみとは何であったのか、父娘の絆とは何であったのか、これから何者になっていくのかを一気に現前させる場面で強烈であった。 これに医師金田洋次の土下座、純子の息子鉄彦の「夜人間」転換許可書の破棄行動が続く・・。
終幕、不病不老と対峙できたストーリーに拍手を贈りたい。 イキウメSFは繊細だが詰め込みすぎてリアルさを欠くことがある。
*劇場、https://setagaya-pt.jp/performances/20160506taiyou.html