■仲代達矢「役者」を生きる

■監督:稲塚秀孝,出演:仲代達矢,無名塾
■ユーロスペース,2015.1.31-2.20
■仲代達矢の舞台は一度みたことがある。 「セールスマンの死」だ。 癖のある役者だったと記憶している。 それよりも黒澤明など映画のほうが馴染み深い。 映画は彼の過剰な演技を抑えているので傑作が多い。
前半は仲代主演の「授業」を、後半は無名塾塾生主演「ロミオとジュリエット」の作成過程が描かれている。 「授業」では膨大な台詞を書き写して部屋の壁々に貼り暗記する姿が映しだされる。 32年生まれだから今年83歳である。 素晴らしい気力体力である。 「ロミオ・・」では脇役に回り主役たちを援護している。 というのも彼は無名塾が心配なのだ。
後半はこの俳優養成所の話に集約されていく。 組織が消えてしまうのもあり得ると彼は考えているようだ。 役者を成長させる方法論や組織論は映像では語られないが、彼には困難な課題が多々みえるのだろう。 仲代はカリスマ性が強い。 これは塾生を見てもわかる。 しかし道楽で始めた役者である。 このまま道楽で押し通すしかない。
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