■グスコーブドリの伝記

■作:宮沢賢治,脚本:山崎ナオコーラ,演出:宮城聰,劇団:SPAC
■静岡芸術劇場,2015.1.13-2.1
■グスコーブドリ以外は人形。 文楽に似ているけど人形遣いが科白を喋るの。 絵で描いただけの簡素な顔。 表情が付けられないから言葉と身体の結びつきを想像力で補わなければならない。 結果、言葉がハッキリと見えてくるの。 中高生鑑賞事業作品だから言葉が練れているのも理由かもしれない。
「言葉を一杯知ると孤独になる」「今できることをして、あとは未来にまかせろ」「未完成が完成」「出来ない事は笑ってやり過ごすことも必要」・・。 農業を気候や火山という一段高い自然のレベルで考えようとしている科白に聞こえる。 両親の墓前で「宇宙の塵になったのは良いこと・・」と言うのも同じ。 これがそのまま彼の死に繋がっていくの。 自然と一体化した輪廻感が背景にあるけど、ある種の諦念もみえて分かり難いところがある。 でも彼の死がとても澄みきっているのは余分な全てを削ぎ落とした結果ね。 崇高さのある舞台でジーンときてしまったわ。
グスコーブドリは美加理が演じたけどボーイッシュと言うより中性的な容姿や動作が素敵ね。 ズボン役の登場作品は中高生にとって意味深い記憶が残るはずよ。 この舞台を観た若い人は宝塚ファンになりそうね。
*CoRich、https://stage.corich.jp/stage/60268