■リア王

■作:W・シェイクスピア,演出:サム・メンデス,出演:S・R・ビール,S・ボクサ,T・ブルック
■日本橋東宝,2014.8.22-27
■科白量の多さからやっぱり本場ね。 でも翻訳は熟れていないみたい。 字幕を凝視してしまう箇所があったからよ。
そしてリアは自分だけの世界を作り過ぎている。 レビー小体型認知症のような知識を演技に取り込んでいるから偏ってしまったの。 後半のカラダを掻く動作も気が散ってしまう。 演出家が求めていた「全てを失う」ことは上手く表現されていたけど、逆に役者間の決定的な結び付きが弱い。
演出家の映画作品「スカイフォール」「ロード・トゥ・パーディション」「アメリカン・ビューティ」もイマイチだった。 舞台もこの延長かしら? 作品は程々に出来上がっているから悪くはないけど、シェイクスピアとNTの歴史に守られているだけにみえる。 あのハキハキした歩き方・立姿・喋る姿勢などにね。
軍隊を今風に登場させるのも新鮮味が無い。 というより現代に設定する理由が見当たらなかったということね。 費用をおさえることはできるけど。 でも彼メンデスは映画と比較したら舞台のほうがずっと似合っている。 もっと舞台に集中すべきね。
*NTLナショナル.シアター.ライブ作品