■ハムレット

■作:W・シェイクスピア,演出:杉原邦生,出演:プロデュース公演カンパニKUNIO
■あうるすぽっと,2014.8.1-3
■舞台のど真ん中に「THEATER」の看板がぶら下がっている。 素直に劇場と訳したが、芝居を見ている途中で「ここは劇場で芝居を観ているんだ!」と意識してしまった。 この意識が舞台に複雑な影響を及ぼしているのがわかる。
分かり易いハムレットだ。 それは叔父クローディアスを現代的な言葉で必要以上に非難するからである。 例えば不倫というセリフが何度もでてくる。 ハムレットの迷いもこれに集約していく。 ターゲットが明確に表現されている舞台にみえる。 このため決定的な旅芸人一座の場面も力が入っている。 この劇中劇でも「THEATER」の文字を強く意識してしまった。
舞台は客席に向かって傾きのある床面である。 この形は役者が「異次元からやってくる」雰囲気を出せる。 そして役者の身体も傾くため瞬発力を出すことができる。 面白い芝居だった。
ところで王妃ガードルードはクローディアスにもハムレットにも心を開いていないようにみえた。 そのため影が薄い。 またホレイショはハムレットに素直過ぎる。 ハムレットの棒読みに近いセリフ読みは「THEATER」の看板に呼応しているようで気に掛からなかった。