■Mary Said What She Said

■演出:ロバート・ウィルソン,出演:イザベル・ユペール,作:ダリル・ピンクニー,音楽:ルドヴィコ・エイナウディ
■東京芸術劇場・プレイハウス,2025.10.10-12
■ロバート・ウィルソンとイザベル・ユペールのタッグは見逃せない。 池袋へ向かうと、折しも「東京よさこい祭り」の開催中で劇場周辺は大混雑だった。
先日観劇した「ヨナ」と共通点がある。 どちらも有名俳優による一人芝居で、内容は宗教的歴史的で難解だ。 ただ、演出家による俳優の扱い方に違いがある。 「ヨナ」では役者が<地>を出していた。 彼は佐々木蔵之介であり、同時にヨナでもあった。
しかし今日の舞台は違う。 イザベル・ユペールはまるで人形のように演じ、フランス語をロボットのような早口で冷徹に喋りまくる。 そこに彼女自身の存在は希薄で、あくまでメアリー・スチュアートの<器>として存在している。 「ヨナ」が<溶け合わせ>なら、今日の舞台は<重ね合わせ>と言ってもよい。
そして抽象的な美術を背景に照明と音楽の精緻な動きが物語に緩急と情感を与えていく。 ここにロバート・ウィルソンならではの劇的な美が立ち現れる。 久しぶりに、舞台からの驚きを存分に味わった。
帰宅後、メアリースチュアートについて改めて調べる。 当ブログの過去記事「メアリー・スチュアート」(森新太郎演出)、「ふたりの女王,メアリーとエリザベス」(ジョージー・ルーク監督)を読み返すとエリザベス女王との確執の激しさがみえる。 今日の舞台でもその緊張が感じ取れた。
ロバート・ウィルソンの急逝も残念だった。 来日は叶わなかったが、彼の舞台を観ることができたことを嬉しく思う。
*舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」作品
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