■トリプティック TRIPTYCH
*下記の□3作品を観る.
□ミッシング・ドア (25分)
□ロスト・ルーム (35分)
□ヒドゥン・フロア (25分)
■演出:ガブリエル・カリーソ,フランク・シャルティエ,出演:コナン・ダヨ,フォンス・ドシュ,パノス・マラクトス他,舞団:ピーピング・トム
■世田谷パブリックシアター,2025.9.27-30
■二方が壁の三角舞台は不安を呼ぶ。 ドア、ルーム、フロアのタイトルから3作品は客船内を描いていることが分かる。 そこへ不気味な音楽が聴こえてくる。
「ミッシング・ドア」はキャビン通路でダンスが展開する。 その壁はくすんだ緑色でドアが幾つも付いている。 意味深な船客や船員らしきダンサーが激しく踊りあう。 人形が憑依したような動きだ。 ストーリーは有るようで無い。
「ロスト・ルーム」へ入る前に舞台を作り替える。 これを観客に見せてくれる。 場面は通路からキャビン(客室)に移る。 家具も備わり色は茶系に変わる。 衝撃的な踊りが続く。 男女間の絡み合いが凄まじい。 しかし1作目の延長にみえる。 物語が微かに展開したようだが大きな変化は無い。 少し飽きる。
ここで休息が入る。 この間も舞台装置の転換作業が続く。 これが楽しい。 前列観客にビニールシートが配られる。 「ヒドゥン・フロア」は船内のレストランらしい。 窓の景色は大時化で雷も轟く。 床は水浸しだ。 そこに略全裸のダンサーたちが水飛沫を飛ばして踊り狂う。 火災も発生する。 狂乱の舞台だ。
3作を通して状況は想像できるがストーリは組み立てられない。 身体の柔軟性やリフティング技能に驚きはある。 小道具のトリックも楽しい。 しかしダンスとしての面白みがない。 肉体の表層を滑る過激なパフォーマンスにみえる。 芸術性がぶっ飛んでしまった舞台だ。 衝撃はあったが感動が少ない理由かもしれない。
それでも「脅威の身体能力と奇想天外なイメージが紡ぐ心地良い悪夢、最高にスキャンダラスなダンスエンターテインメント」を体感したことには納得。 そう、「心地良い悪夢」を見てしまったのだ。
*「ブログ検索🔍」に入れる語句は、ピーピング・トム ・・検索結果は4舞台.