■賭博者

■原作:F・M・ドストエフスキー,作曲:C・プロコフィエフ,指揮:ティムール・ザンギエフ,演出:ピーター・セラーズ,出演:チェン・ペイシン,アスミク・グリゴリアン,ショーン・パニカー他,演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
■NHK,2024.12.2-(ザルツブルク・フェルゼンライトシューレ,2024.8.12・17収録)
■幕開きから歌手たちは精神が高ぶっている。 オペラでは珍しいくらいの演劇的演技が続く。 加えてカメラは歌手のアップを多用する。 この過剰な演出は何だ!? 明暗の強い赤色系の照明に映像画面が染まっている。 この緊張ある舞台は何だ!? 主人公アレクセイや恋人ポリーナの意図も捕らえることができない。 観ていても厳しい。
終幕も近い後半、空飛ぶ円盤のようなルーレットが天井から降りてくる。 賭博に挑むアレクセイの大勝する場面が凄まじい。 ここで多くの謎が解ける。 舞台は、初めから終わりまで、この賭博の緊張が拡散していたのだ。
この張り詰めた充満はドストエフスキーと演出家ピータ・セラーズのコラボ成果と言ってよい。 投げられ回転しているボールの行方を見つめるあの短い時間に沸き起こる極限へ向かう高揚感が全ての歌手に塗り込められていたのだ。
*ザルツブルク音楽祭2024作品