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2月, 2025の投稿を表示しています

■能楽堂二月「千鳥」「隅田川」

*国立能楽堂二月定例公演の□2舞台を観る. □狂言・大蔵流・千鳥■出演:茂山七五三,茂山宗彦,茂山千五郎 □能・喜多流・隅田川■出演:塩津哲生,塩津希介,宝生常三ほか ■国立能楽堂,2025.2.19 ■「千鳥」は主人の命で酒を買いに行った太郎冠者と、ツケ残のある客に酒を売りたくない酒屋主人との駆け引きが見所。 二人は合口(話の合う仲良し)という設定もミソ。 尾張津島祭が話題になるが、そこでの「千鳥を捕らえる子供の遊びをまねる」場面が題名の由来らしい。 「隅田川」は京から遥かに遠い最果ての地だ。 此岸と彼岸の境界であるこの地で母子が再会する。 しかし「・・絶望的な悲劇を書きながら、救いのない荒涼たる晩秋や厳冬ではなく、大自然の慰めと生命力に満ちた時季に設定した点にも、元雅の作意が窺える」(村上湛)。 梅若丸の命日は2025年は4月13日である。 境界上の武蔵野の原風景を行ったり来たりしながら観てしまう作品である。 シテの動きを見て不安が過る。 科白はしっかりしているので途中から気にしなくなったが。 面は「曲見(しゃくみ)」。 *劇場、 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2024/2109/

■ポルノグラフィ/レイジ

■作:サイモン・スティーヴンス,翻訳:小田島創志,高田曜子,演出:桐山知他,出演:亀田佳他,土井ケイト,岡本玲ほか ■シアタートラム,2025.2.15-3.2 ■前半の「ポルノグラフィ」は2005年ロンドン爆破事件前後の市民生活を7つのオムニバス形式で描いています。 ロンドンの地名が次々と耳に届きますね。 でも頭に描いた地図上のここだ!と指し示すことができない。 NTライブは欠かさず観ているが、実はロンドンには長らく行っていない。 事前に地図をじっくり眺めておけば良かったと科白を聴きながら悔やみました。 今もそこの風景が浮かぶからです。 原作に忠実な舞台です。 読んでいないが、目をつむり科白を聴いているとそう感じます。 科白に同期した生活の音や街の騒音が微かに聴こえる。 これがとても効いている。 コーヒーやクロワッサンの香りも漂ってくる。 でもそこで生活していないと心身が反応しない。 ロンドンは遠い街になってしまった。 後半の「レイジ」は大晦日の英国の一都市が舞台のようです。 祭り騒ぎのなか、警官と市民の小競り合いが起こる。 前半と後半は連続しているようにみえる。 爆破事件を冷静に見届けた市民が大晦日でどんちゃん騒ぎをする。 これがロンドンの生活だ!と言っているようです。 ところで街の地下にできた穴は何の象徴でしょうか? 3時間15分は長い。 前半は静かな緊張、後半が騒がしい緊張で疲れました。 疲れた理由の真意、それは<芝居の面白さ>が感じられないからです。 たぶん真面目過ぎるのかもしれない。 *劇場、 https://setagaya-pt.jp/stage/16041/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、サイモン・スティーヴンス ・・ 検索結果は3舞台 .

■円環 ENKAN

*以下の□3作品を観る. ■さいたま芸術劇場・大ホール,2025.2.7-9 □過ぎゆく時の中で ■演出:金森穣,音楽:ジョン・アダムス,衣装:堂本教子ほか,出演:金森穣,Noism ■・・一人の男がゆっくりと舞台を横切っていく。 そこを全速力で走り抜けるダンサーたち。 「新潟競馬場の直線コースを駆け抜ける競走馬」のように。 歩く男はダンサーを呼び止め関係を持ち始める。 その後ダンサーたちは輪になり男を囲み幕が下りる・・。 速度ある動きと小刻みな音楽が同期していて気持ちが良い。 2021年作らしい。 「円環」とは何か? 舞団の結束する姿が現れている。 衣装はシンプルだが、いつものように決まっています。 舞台の隅々まで演出家の気配が沁み渡っています。  □にんげんしかく ■演出:近藤良平,音楽:内橋和久,衣装:アトリエ88%,出演:Noism ■・・舞台には大小のダンボール箱が置いてある。 それがモゾモゾと動き出す。 中からダンサーたちが現れる。 彼らは何語?かを喋り箱を叩き踊りまくる。 お互い挑発もする。 楽しい舞台です。 もちろん衣装もです。 彼らは再び箱に入り幕が閉じる・・。 近藤良平らしい振付です。 彼は緊張感溢れる作品が多いNoismを別世界へ引きずり込もうとした。 これは成功したようです。 □宙吊りの庭 ■演出:金森穣,音楽:尊室安,衣装:鷲尾華子,出演:井関佐和子,山田勇気,宮河愛一郎,中川賢 ■・・胴体だけのマヌカンが舞台に置いてある。 3人のダンサーが登場しマヌカンと共に踊り出す。 マヌカンの服を脱がせてダンサーが着たり、その逆もある。 絡み合いながら複雑な振付が続いていく・・。 動きの中に充実した人生がみえる。 大人のダンスと言ってよい。 気に入りました。 ゲストの二人も存在感がある。 満足度120%です。 *劇場、 https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/101564/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、金森穣 ・・ 検索結果は37舞台 .

■マクベス

■作:ウィリアム・シェイクスピア,演出:マックス・ウェブスター,出演:デヴィッド・テナント,クシュ・ジャンボ,カル・マカニンチ他 ■吉祥寺オデオン,2025.2.5-(ドンマー・ウエアハウス,2024.1収録) ■ムリムダムラの無いスピーディな展開です。 早送りで観ているようです。 魔女の予言を信じる、と言うよりは、命令です。 マクベスは命令として受け取り、深く悩み迷うが体がどんどん動いていく。 これがスピード感を増幅しています。 役者も巧い。 シェイクスピアの科白も加速度を付けてビシビシと決まっていますね。 5mx7mの何も無い白い平面の舞台を縦横無尽に動き回る。 暗くてよく見えないが3方が客席のようです。 役者たちは時々カメラを意識する。 観客がいてもです。 しかも観客はヘッドホンを付けている・・? 録画の為の特別舞台・・? シェイクスピアのチャンバラ劇はこの手の演出が近頃多い。 ナショナル・シアター(NT)も同様でしょう。 英語を母語とする観客はどう観ているのか分かりませんが、しかし心身に直接迫る演劇的感動は少ない。 咀嚼し直してから、やっぱり本場は凄い!と頷く感動でしょう。 *映画com、 https://eiga.com/movie/103130/

■さまよえるオランダ人

■作曲:リヒャルト・ワーグナー,指揮:マルク・アルブレヒト,演出:マティアス・フォン・シュテークマン,出演:松位浩,エリザベート・ストリッド,ジョナサン・ストートン他,合唱:新国立劇場合唱団,管弦楽:東京交響楽団 ■新国立劇場・オペラパレス,2025.1.19-2.1 ■シュテークマン演出の同舞台はこれで3度目、もちろんこの劇場でね。 その為かワーグナーの真髄を乗せた歌唱が心身の奥底まで響いてくる。 当たり障りが無く巧すぎる演奏が逆にワーグナーを際立たせたのかも。 どう転んでも、ワーグナー最高!  オランダ人役エフゲニー・ニキティンが気管支炎のため河野鉄平に代わったことが当劇場理事から事前説明がある。 前回のコロナ下、2022年1月公演のオランダ人が河野鉄平だったことは憶えている。 でも今日はパワーが全開しているようにはみえなかった。 ドイツ語も馴染んでいない。 緊急出演でしょうがないかな? でも、そこは流石に新国劇、総合力でカバーしていた。 アクシデントはあったが十分堪能できたわよ。 ところで、この作品は能楽にしたら似合うかもしれない。 新作能「彷徨阿蘭陀人」! そう思いながら観てしまった。 *NNTTオペラ2024シーズン作品 *劇場、 https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_029080.html *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、シュテークマン ・・ 検索結果は4舞台 .