■デカローグ5・6

■原作:クシシュトフ・キェシロフスキ他,演出:小川絵梨子,村上聡史,出演:福崎那由他,仙名彩世,田中享ほか
■新国立劇場・小劇場,2024.5.18-6.2
■今回も2本立てです。 小川絵梨子演出「デカローグ5」はタクシー運転手殺害の青年が死刑宣告を受け執行される話。 被告はなぜ殺人を犯したのか? 被告から妹のことなどが語られるが動機に結びついていかない。 科白が少ないこともある。 弁護士は被告よりも饒舌だが主人公にはみえない。 そして科白や音楽のリズムはまさに映画と言ってよい。 煮え切れない真相と主人公の不在で迷ってしまうが死刑執行が止めを刺します。
上村聡史演出「デカローグ6」は魅力的な女性の部屋を望遠鏡で盗み見る青年の話。 距離感のある望遠鏡を持ち出すのも映画的です。 ドアの開け閉め、呼び鈴などの効果音も同じですね。 今ならストーカーだが、青年の異性への未熟さが巧く表現されていた。 「人は何故泣くのか?」という青年の質問には驚きましたが。
主人公役の福崎那由他と田中享は演劇と映画の境界を上手に漂っていたのが印象に残りました。 ところで原作者の映画は観ていません。
*NNTTドラマ2023シーズン作品
*劇場website、デカローグ5・6