■かもめ

■作:A・チェーホフ,演出:トーマス・オスターマイアー,劇団:ベルリン・シャウビューネ
■静岡芸術劇場,2024.5.3-6
■いつもの座席はそのままにして隠し、新しい客席を舞台上に敷設してある。 ほぼ円形のため役者と観客の距離が近い。 しかも役者は観客をときどき挑発します。 チェーホフにしては荒々しい感情を前面に出している。
コースチャとニーナの劇中劇から始まります。 ここが結構長い。 そして二幕の、ニーナとトリゴーリンの会話も長く感じる。 科白も即興のようなところがある。 おもしろい流れです。 でもチェーホフのジワッとした心の揺れがいつものように来ない。 直截のため表層で滑るような揺れが心に突き刺さるからでしょう。
帰りの新幹線は連休のため混んでいたが座れたので「劇場文化」を読むことにする。 「いろいろな愛のあり方を・・、きちんと表現した」(ジョセフ・ピアソン)。 そのように見えました。 「俳優にかなり自由が与えられ、・・俳優の言葉で言い直すようにした」(同)。 これでいつもより長い、あるいは短い、起伏の激しい場面が現れたのか? なかでもトリゴーリンが目立っていた。 「絶望的に悲しいのにおかしい」(同)。 この相反する両者が結果として強調されていましたね。 このブログを書いている今も、舞台の生々しい雰囲気が記憶に留まり続けています。
*ふじのくに↔せかい演劇祭2024
*劇場website、かもめ