■マルコムX

■作曲:アンソニー・デイヴィス,演出:ロバート・オハラ,指揮:カジム・アブドラ,出演:ウィル・リバーマン,リア・ホーキンズ,レイアン・ブライス=デイヴィス他
■東劇,2024.1.19-25(メトロポリタン歌劇場,2023.11.18収録)
■3幕4時間は長い。 でもマルコムの生涯を語るには必要かもね。 空飛ぶ円盤が降りてきた舞台は未来を描いているようにもみえる。 天井の円盤に照明をあて文字を映し字幕としても使う。
子供時代の1幕では家族がKKKの標的に、そして父の殺害が風景のように描写されていく。 2幕直前にマルコムはイスラムの影響で別人と化して出所する。 ここから物語が力強く進んでいく。 農場から都市へ移る衣装の変化が黒人世界を直截に表しているわね。
ジャズ風な楽曲でいつもとは違う。 ピアノやドラムも入りリズムを強調するからよ。 20世紀前半に流行したダンスもふんだんに取り入れコーラスも途切れない。 そこにイスラムの祈りが被さる。
彼は言う「・・400年間奴隷として生きてきた。 今、自由・正義・平等を求める!」と。 しかし使徒との意見の食い違いから彼は組織から離れていく。 そして暗殺される終幕へ・・。
過激な科白が続くし・・、これは<演説オペラ>と言ってよい。 そこに歴史的風景が重なる。 でも芸術的感動は少ない。 昨年の「チャンピオン」あたりからMETの革新が途切れない。 次々と登場する新しいオペラに期待したい。
*METライブビューイング2023年作品