■セルセ

■作曲:G・F・ヘンデル,演出:中村蓉,指揮:鈴木秀美,出演:澤原行正,本田都,長田惟子,田中夕也,塚本正美ほか,演奏:ニユーウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ
■めぐろパーシモンホール・大ホール,2021.5.22-23
■生舞台はやはりイイわね。 流行りの映像配信は別物だと分かる。 今日は主要歌手7人のうち5名が二期会デビューとのこと、しかもダンサー兼振付の中村蓉も演出としてのデビューなの。
期待に添い、始まりから歌手がダンスで挨拶とは嬉しい。 6名のダンサーは背景のように煩雑に登場する。 ヘンデル・オペラはダンスに合うと思う。 あとモーツァルトもね、それとロッシーニはどう? 舞台はシンプルな階段と扉だけ。 その扉から姉妹の部屋やバーが飛び出してくる。 軽やかなダンスと美術で「コメディタッチの恋物語」がより強く感じるわね。
「オンブラ・マイ・フ」は、先ずはセルセが、後半のはじめにアルサメーネ、そして終幕に再びセルセで3回は歌われたはず? この歌を聴くといつも宗教的感動が押し寄せてくる。 解説に「(史実)クセルクセスは樹に惚れこみ、警備の歩哨までつけた・・」(三ヶ尻正)とある。 やはり樹木信仰が長く伝わっていたと思う。 歌詞「飲み、食い、それだけでも生きている価値がある」にも信仰に沿う素朴な人生観が現れている。
演奏は梅雨空を忘れる枯れた爽やかさがあった。 歌唱はロミルダが安定していたかな? ダンスをしながら歌うのは苦手な歌手もいるはず。 でも皆若いから気にしない! しかも演出が休まず歌手たちを引っ張っていたと思う。 久しぶりの楽しい舞台だった。
*二期会創立70周年記念公演,ニューウェーブ・オペラ劇場