■シラノ・ド・ベルジュラック

■演出:デヴィッド・ルヴォー,出演:ケビン・クライン,ジェニファー・ガーナー,ダニエル・サンジャタ他
■東劇,2020.12.25-2021.1.14(アメリカ,2007年作)
■ブロードウェイと書いてあったのでミュージカルと思いきやストレートプレイだった。 この科白が歌劇で聴けるとは!、と期待していたのだが・・。 それでも一幕の即興の詩を作りながら決闘をする場面から素直に舞台に入っていけた。
面白く観ることができた。 今までみた舞台では戦場と修道院の終わり二幕が納得できていなかった。 それが今回すべて納めることができたので嬉しい。
戦場へ向かうロクサーヌの理由やクリスチャンの死、シラノの立ち位置などすべてが自然の流れのように受け止めることができたからだ。 次幕、修道院でのシラノの死も同様である。 つまらない事故死のため現実に戻されそうだったが、科白の量の多さと質の良さ、間の繋ぎの強さで物語に留まれた。 役者の力もある。 この終わり2幕で心打たれたのは初めてだと思う。
やっとシラノに会えた気分だ。 ガスコン魂と詩的科白が巧く嚙み合った喜劇のリズムが少しずつ愛と死に昇華していく流れにはまってしまった。 ところでブロードウェイの(映像内の劇場にいる)観客はよく笑う。
*松竹ブロードウェイシネマ