■朧の森に棲む鬼

■作:中島かずき,演出:いのうえひでのり,出演:松本幸四郎,中村時蔵,坂東新吾ほか
■アップリンク吉祥寺,2026.1.2-22(新橋演舞場,2024.11収録)
■作品紹介には「阿弖流為(アテルイ)に続く待望の第二弾!」とある。 第一弾が面白かったこともあり正月早々に映画館へ足を運んだ。 今作は「底知れぬ欲望に捕らわれ、狡猾な詭弁で人々を騙し、底辺から頂上を狙う主人公ライ」に焦点を当てている。
前半はどうにも身動きがとれない印象だった。 森に棲む魔物から授けられた魔力が彼を守ってしまうため、物語の展開が読み易く、緊張感が薄れてしまう。 「マクベス」や「リチャード三世」を思わせる場面が時折登場するものの、ライの心は終始閉ざされたままだ。 彼は何を考えているのか外側からは想像しずらく、天下統一のビジョンも見えてこない。 上映時間200分が長く感じられた。
しかし後半に入ると、ようやくエンジンが掛かってきた。 それは、前半でライと交わりを持った人物・・、上司・愛人・同僚・部下・親友・知人の関係を彼の欲の力で次々と暴力的な解決をしていく展開だ。 ここは作家と演出家の名コラボらしい捻りの効いた流れが見事に発揮されていた。
主人公ライの支離滅裂な強欲だけが突っ走る舞台だった。 そこに<大きな物語>が欠けていたのは残念に思う。 最後に彼は鬼となり、朧の森を支配して幕が下りる。 ヒトがオニになる作品だが、もし彼の欲望を<大きな物語>に向かわせたら、オニではなく、政治の、宗教の、英雄になったのかもしれない。
*シネマ歌舞伎作品
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