■メタルマクベス ーdisc1-

■原作:W・シェイクスピア,作:宮藤官九郎,演出:いのうえひでのり,音楽:岡崎司,出演:橋本さとし,濱田めぐみ他,劇団☆新感線
■IHIステージアラウンド東京,2018.7.23-8.31
■円形劇場ステージアラウンドへ行ってきました。 席に着いてもそわそわしてしまった。 う?動いた・・。 なんと客席が回り出す時は加速度を感じさせない。 慣性運動と舞台の中心が一致していないことからくる目眩のようなものを体感できるのが面白い。 回り終わるのと同時に舞台の中心がどこだか分かる。 360度をうたっているが使っているのは120度くらいかな? 横幕のようなスクリーンの開け閉めで舞台が見え隠れするようになっている。
劇場のメリットを引き出した場面はライダーが荒野を走り回るところだろう。 この作品は「マッドマックス」を背景に「マクベス」を演じるヘビメタ調ミュージカル・プレイだからバイクは必須である。
座席が回転してスクリーンに2218年の廃墟と化した東京を映しだしながらバイクが走り出すと時空を越えて未来の豊洲にいるようだ。 それにしても貧弱なバイクが混ざっていた。 本格的な台数で円形舞台をガンガン飛ばしてもらいたい。
この芝居の楽しさはもう一つのストーリーであるヘヴィ・メタルバンドの存在だろう。 しかも魔女に引っ掛けている。 予言をディスクに記録したのも謎めいている。
しかし休息を含めて4時間は長すぎる。 派手な流れで物語を均一化しているので肝心要が見えない。 ナマヌルイ個所、例えば王を殺害する場面でダンカンを棺におさめ葬儀までおこなうのには呆れてしまった。 日本的情緒が強すぎる。 このような数個所を圧縮し上演を30分短くすれば締まって良くなる。 またマクベスが夫人に甘えるのも下手な笑いを誘うだけだ。
唯一静寂が訪れる場面で、ダンカンが「戦う理由はなんだ??」とマクベスに聞くが、彼は答えられない。 (家族の為だなんて最低だ!) 観終わった時、面白かったが何が面白かったのか? マクベスと同じように答えられない舞台だった。 キレイはキタナイ、オモシロイはツマラナイ。
*TBS、http://www.tbs.co.jp/stagearound/metalmacbeth_disc1/