■巨大なるブッツバッハ村

■演出:クリストフ・マルターラ,美術:アンナ・フィーブロック
■東京芸術劇場・中ホール,2010.11.19-
■会場はガランとしています。 舞台の前面とA~E座席は使用していないからです。 このため役者との距離があり覚めた雰囲気の上演でした。 舞台はヨーロッパのどこかの待合室です。 特に壁紙のデザインが日常生活そのままを持ってきた感じに強めています。
音楽劇ですが舞台の倦怠感と曲がよく似合います。 金融危機以後のヨーロッパの人々の心の持ち様が出ていました。
この芝居のように物語性や劇的さが無い芝居は、観客と舞台のリズムの同期を取るのに長い時間が必要です。 上演時間は長かったのですがリズムを得るタイミングがありませんでした。 観客は飽きてしまったはずです。
また壁に映し出された日本語訳ですが、「クソ野郎」は漫画ならともかく実生活では聞いたことがありません。 「くおん」は仏教語ですがたぶんキリスト教のある言葉を翻訳したのでしょう。
それ以外でも状況が掴みとれない箇所が多々ありました。 翻訳の不味さも飽きてしまった理由の一つです。