■りすん
■原作:諏訪哲史,脚色:天野天街,演出:小熊ヒデジ他,出演:加藤玲那,菅沼翔也,宮璃アリ
■神奈川芸術劇場・大スタジオ,2025.8.7-10
■客席が三方向に作られている。 5m四方の舞台はカーテンで仕切られているが中は透けてみえる。 ベッドが置いてあるようだ。 粗筋を読んでいないので何が起こるか想像できない。
カーテン越しに二人の役者が姿を現す。 大学生の兄と妹のようだ。 妹は血液系癌に罹患している? ここは病室らしい。 二人の対話が面白い。 言葉の羅列がお見事、ここに映像や照明・音響を修飾語のように被せていく。 少年王者舘を凝縮させたような舞台だ。
「りすん」とは何か? 途中でわかった。 ビートルズ「 Do You Want To Know A Secret」の歌詞は当て字がはめられていたが、この「Listen・・」から「りすん」にしたと思う。 ・・?
カーテンが外され、祖母が病室にやってくる。 彼女が二人の過去を持っている。 満蒙開拓民の両親や親戚、兄妹の幼少期時代、戦争末期の混乱や父のホテルのこと、などなどが語られる。 過去を得た二人は成長した。 なかでも父が経営していたホテルが何度も話題になる。 ホテルは兄妹の永遠のオアシスかもしれない。
後半に入り隣室の患者に目が向けられる。 その人は小説家? 兄妹の行動を小説にしようとしている? ここから文学論的な話になる。 演劇論も重なるので楽しい。 でもこれを続けると舞台が逸れてしまう。
それより、時々思い出させる病室という雰囲気である。 妹の死へ向かう気配といっていよい。 これを兄妹の饒舌な対話が撥ねつけていた。 でもついにその時がやってきた?
二人がダンスをしながら幕が下りる。 ここぞという時にダンスを入れるのは勇気がいる、天野天街ならいつもの事だが。 このダンスが生と死を昇華した。 雑音のない終わり方で上手くまとめたと思う。 役者たちも舞台装置も一体感があり、ツアー公演だが完璧な舞台を観せてくれた。 暑い中、久しぶりの横浜を楽しめた。
*「りすん2025edition」リ・クリエイションツアー
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