■能楽堂四月「腰祈」「歌占」

*国立能楽堂四月定例公演の□2舞台を観る.
□狂言・大蔵流・腰祈■出演:大藏彌右衛門,大藏章照,大藏彌太郎ほか
□能・金春流・歌占■出演:山中一馬,島袋元寿,則久英志ほか
■国立能楽堂,2025.4.9
■「腰祈(こしいのり)」は山伏修行を終えた孫が祖父の曲がった腰を治す話。 孫の法力が効き過ぎてしまった!?
「歌占(うたうら)」は父子再会物語である。 そして伊勢神道の父が地獄へ落ちた時の様子を語り「地獄の曲舞」を舞う。 中世神仏習合の死生観は仏教のため浄土信仰の八大地獄が描かれる。 「世阿弥が嫌った地味な男物狂」を彼の実子・観世十郎元雅が当作品としてまとめ上げたらしい。
当時の仏教的地獄はずっと身近だったはず、でも現代はそれが迫って来ない。 シテ面は「今若(いまわか)」の色白で「・・地獄の苦しみにかやうに白髪となりて候」の髪は金髪にみえる。 現代的なシテの曲舞から地獄は遠い。 また地謡の出番が多い。 難解な謡と舞のため出演者の苦労が感じられる舞台だった。